マルディ名作童話・「裸の皇帝様」・2 

明日からまたお仕事なので、週末(注・うちの会社は一日ずれてるのよ)のまとめ更新。
…世はFFで、ここのお客さんも減っているという状況ですが。
(一見さんの数が凄く減ってる様子)
まだまだやっていきますよー。

今日のうちに、完結できるかなあ?
割と変換しやすい話なので、一気にいけそうはいけそうですけどね。


…皇帝様から仕事を頼まれて、そろそろ半月が経とうとしておりました。
その間も二人の詐欺師・ジャミルとダウドはせっせと皇帝様のために機織をしておりました。

しかし、様子が変です。
懸命に機織をしているにもかかわらず、一向に布が増えていく気配はありません。
…なぜならば、その機織機には糸も、布もありませんでした。
語っている私がバカで、それともふさわしくない仕事をしているからで?

いいえ、違います。
…はじめから、ガーニーなどという素材はありません。
ないものは機織することもできません。
彼らは…はじめから、皇帝様から金を騙し取るためだけに、ありもしない布を作ったのでした。

しかし、何もない機織のために。
彼らは時折、「布を飾り刺繍で彩るために金と銀の糸がほしい」「ガーニーはまだまだ高価だから、材料のための金がほしい」
そういっては、高価な材料や高額の金を出してもらっておりました。

そしてそれらの糸や金は…。
「ダウド、じゃあまた頼むな」
「うん、分かったよ。おばさんにもよろしく言っておくよ」
なぜかダウドが南エスタミルに持っていってしまうのでした。
勿論、この行動は(糸は隠しているとはいえ)皇帝様や側近たちも知ってはいるのですが、エスタミルにしかない素材ということで…。
誰もとがめることはありません。
そんな皇帝様や側近の様子を見て。

「すまねえなぁ。…おいら達だって金がほしいんだよ」
流石に、あまりに疑わない彼らに。
ジャミルは罪悪感を覚えていました。

…実は彼らは、病に倒れたファラのおばさんのための薬代を稼いでいるのでした。
病に倒れてしまったおばさんの薬代はかなり高く。
彼らの「稼ぎ」では到底間に合いません。
そんな時に皇帝様が洋服なら何でも買い取るという噂をダウドが聞きつけ。
実行に移しているのでした。
…だから、糸も、金の大半も。
詐欺師達ではなく、そんなところに回っているのでした。
とはいえ…。

「所詮皇族なんざ、庶民がどんなに大変な思いをして金を稼いでいるなんざ知らないことだし。これで成功したら次はあのウハンジに同じことをしてやるか」
ジャミルはそうも思っているのでした。


ところで。
パレードまでの日数は着々と近づいていました。
…皇帝様は、「どんな服ができるのか」わくわくどきどきして落ち着かない日々を送っておりました。
とはいえ。
「バカとふさわしくない仕事をしている人には見えない」布を使った服を作っている現場を見るのは、いくら先日、布が見えていた皇帝様とは言え、ちょっと怖いのでした。
(見えなかったらどうしようか)

そこで、親衛隊の一人、ジャンに皇帝様は命じました。

「機織場に行って、服の出来がどのようになっているか、こっそり見に行ってほしい」と。

ジャンは、勿論言われた通りに機織場に行きました。

が。
…こっそり覗いたジャンの目には、布など全く見えていませんでした。

(まさか…俺の仕事はふさわしくない仕事なのか!)
ジャンは、今までの数々の失敗を思い出し、もしかして、とは思いましたが。
まさか皇帝様にそれを言ってしまったら…そう思うと、冷や汗がたらたらと…。

そんな時。
「ねえお兄さん、おいら達になんか用?」
ジャンは後ろから声をかけられました。
…たまたま席をはずしていた、ダウドでした。
「もしかして、自分がバカかどうか知りたくなったのかい?」
ダウドはくすくす笑います。
「まぁそんなもんでしょうぉうね。俺にはきちぃんと見えてましたけどねぇ〜」
まさか見えてないなどとは言えず、更に続けました。

「七色の布に、金の鳳凰と銀の竜が刺繍された素敵なものですねえ。」
そう聞いたダウドは、ぱぁっと表情を明るくして
「そうだろ!おいら達、無敵のさ…じゃなかった、機織師だもの!」
と言いました。
…うっかり口を滑らせてしまいそうでしたが、ジャンもおっちょこちょいなので、全く気づかずに皇帝様の元へ行ってしまいました。
部屋でやり取りを聞いていたジャミルは、「金の鳳凰、銀の竜…」と、口裏あわせのためにメモを取っておきました。

後にジャンから布について報告を受けた皇帝様は、綺麗な布の柄を聞いてたいそう喜びました。


更に、パレードまでの日が近づいてきました。
待ちきれない皇帝様、今度はまじめな財務大臣のパトリックを機織場に向かわせて、服の報告をさせようとしました。

…そこで機織機を覗き見たパトリックの目にも…。
布は全くありませんでした。

(しかし!…私には全く!…ああ、どうすればよいのでしょうか…)
パトリックが途方にくれていると、いきなりジャミルが覗き見ていたドアを開けました。

「っと、出来が気になるかい?」
ドアを開けられて、体制を崩したパトリックの姿を見て、ジャミルは言いました。
「勿論ですとも。…皇帝陛下が心待ちにしておいでです」
布が見えなかったとか、そういう事実は言わずに、そう答えました。
嘘をつくには、隠し事をするには。
一部真実を混ぜるとよい、そういいますゆえ。
「ならば、出来上がっているものだけでも見せるとしますか。
ダウド、そこの布を取ってこの方に見せてやってくれ」
「えー、どこにある奴?」
ダウドはその布がない事実を一瞬忘れかけており、また、他のカモフラージュの布も沢山あったので…ちょっと探してしまいました。

「ぐずぐずしてるんじゃないぞ、ダウド。」
「あ、あった!」
なにもない空間から、ダウドはひとつの反物を…もってくる、振りをしました。

「七色の生地に、金の鳳凰と銀の竜を刺繍してみたものだ。
ぐずぐずして見えても、ダウドは刺繍の名人でな。
これを皇帝陛下の上着にしてみようと思うんだが。いかがなものだい、パトリック様?」
…ジャミルは、彼が皇帝様の側近という事をしっかり覚えておりました。
そうなってしまうと、まさか「見えない」などいえないパトリック。

「ほぉ…すばらしい腕前だな」
ただただ感嘆するしか出来ません。
「それでは皇帝陛下にご報告しましょう。金の鳳凰と銀の竜の刺繍入りの上着がもうすぐ出来ると!」

そう言って、パトリックが去っていくと。
詐欺師達はとても嬉しくなりました。

「人間、誰もがバカには思われたくないからな!」
そんなジャミルの作戦がうまくいった、そう思われました。

そして、ついに。
パレードの日を迎えたのでした!

…この続きは、また次回に。

(続く)


裸の王様の話には、別にそんな目的はないのですが。
…あの刺繍糸とかって換金できるよなあと思ったら。
こんな話になってました。
うまくやれば何倍もの金が入ってきますよね。

本当は一気にこのまま当日にいこうと思いましたが、ちょっと長いので区切りました。
皇帝様は?ジャミダウは?残りの側近たちは?
さあ、どうなるでしょうか?
お楽しみに!

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